本稿では、時給に関する求人検索を分析します。月給検索の分析結果については別途こちらをご参照ください。
主要ポイント
- Indeed上で検索される時給の平均は2025年11月で1,569円、前年同月の1,530円から2.6%上昇。
- 47都道府県中39都道府県で前年を上回り、前年を下回る都道府県でも下回る程度は小さく、全国的な上昇トレンドが継続。
- 大都市圏では賃金レベルが高い一方、地方の上昇率が顕著である。上昇率トップである青森県(15.4%)、鳥取県(15.1%)、長野県(12.9%)、岩手県(10.1%)はいずれも過去1年で10%以上の上昇率を記録。
検索された時給は上昇を継続
インフレーションの熱が冷めず、求職者は、昨年より、さらに高い賃金の仕事を探しています。
2025年11月、検索された時給の加重平均値は1,569円で、前年同月から2.6%上昇、過去5年間では23.1%上昇となりました。これに対し、パートタイムの時給実績(平均)は最新月2025年9月で 1,388円(前年同月比2.8%)で、上昇し続けているものの、労働者の希望の金額帯にはまだ及んでいません。

大都市圏で検索時給の額が大きいが、上昇率では地方圏がリード
勤務地として検索されている都道府県別に、2023年の検索時給をみると、東京都(1,649円)、大阪府(1,615円)、神奈川県(1,580円)と大都市圏が上位を占めます。一方で前年からの上昇率でみると、青森県(15.4%)、鳥取県(15.1%)、長野県(12.9%)など地方圏での伸びが顕著です。

物価上昇ほか、最低賃金や労働市場の逼迫さ等複合的な要因の可能性
都道府県間で上昇率にばらつきがある点、あるいは地方での検索賃金の上昇率が高い点については、物価上昇や最低賃金引き上げ、労働需給、その他地域の異質性などが複合的に影響している可能性があります。2025年の最低賃金改定では6.3%と例年より引き上げ率が高く、特に東北・四国・九州地方で比較的高い引き上げ率が設定されました。
少なくとも言えることとしては、検索時給の要因については、検索月給よりも多様であり、物価上昇以外の要因も大きく作用している点が特徴的です。
これらの要因が相互に影響し合い、都道府県ごとに異なる上昇パターンを生み出していると考えられます。
採用企業にとっての意味
最も注目すべきは、地方での賃金期待の上昇スピードの速さです。4県で1年間で検索賃金の上昇率が10%以上伸び、12県で5%以上の上昇率を記録しています。この変化のスピードは、採用戦略を考える上で見逃せないポイントであり、「数年前の賃金相場」が急速に古くなってきている可能性があります。定期的に地域の賃金動向を確認し、求人条件を見直すことが、効果的な人材確保につながるでしょう。
全国展開している企業にとっては、地域ごとに異なる賃金期待の変化スピードを把握することで、より柔軟な地域別採用戦略の検討が可能になります。賃金以外の要素—柔軟な働き方、職場環境など—との組み合わせを検討する際の重要な材料となります。
ただし、本分析には重要な限界があります。このデータは「時給」に関連するキーワードで検索した求職者のみを対象としており、勤務地、職種、福利厚生など、賃金以外の条件を重視する求職者は含まれていません。実際の採用市場では、多様な要素が人材確保に影響するでしょう。
方法
検索賃金の加重平均値の算定方法は以下の通り。
- 月給では1万円刻みの値、時給では10円刻みの値を賃金帯として、賃金帯ごとに検索数及び賃金検索数全体に占めるシェアを計算。
- 各賃金帯と上記シェアの掛け合わせで算出。
実際の賃金データは、厚生労働省「毎月勤労統計調査」のパートタイム労働者の時間あたり給与を使用。