新卒が働き始める4月において、日本の若年層の雇用状況は全く悪化していません。2025年4月の労働力調査によると、20~24歳の就業率は前年4月の72.8%から2025年4月は74.2% と1.4ポイント上昇しました。25-29歳についても、87.5%から88.4%と0.9ポイント上昇しました。

同様に、失業率についても、20-24歳では4.3%(前年同月比 0.3ポイント減)、25-29歳では4.5%(前年同月比 0.1ポイント減)と安定的むしろやや改善傾向といえます。尚、数値は生産年齢人口の失業率よりもやや高い水準ですが、これは若年層においては職業経験不足や高い離職率といった要因があるため典型的な傾向を表します。

産業・職種によっては、将来の不確実性・地政学的リスクや貿易の不安定化による雇用の影響可能性、あるいは中長期的にはAI等技術ショックによる雇用への影響がありうる一方、少なくとも新卒を含む若年層全体においては、そうした影響は日本ではまだ見られないと考える方が自然でしょう。世界的に若年層の雇用が不安視されるなかで、日本のこの改善傾向は注目に値します。

この傾向は、2025年の春闘前後で観測された賃金状況とも一致します。多くの企業が初任給を引き上げ、企業側の採用競争の激化で、若年層の労働市場は極めてタイトであることと整合的です。